戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

気になる木

12月だというのに暖かい雨・・・

体は楽ですが、さすがに心配になってきました・・・

 

さて、年の瀬もせまっているところで、今年を振り返って

春からマイブームになっているある木についてご紹介します。

(今日のネタがないので、記憶を遡っただけとも言いますが^^;)

 

その木に気付いたのは今年の春、

県庁の近くの林を歩いていた時です。

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かわいい実がたくさん落ちていました。

調べると、中国原産のチャンチン(香椿)とのこと。

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他の木よりも芽吹きが遅くて、まっすぐ伸びる幹が特徴。

ちなみに中国では「椿」の字はこのチャンチンのことを指します。

日本のツバキとは関係ないとか。

 

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それからは、頭の中も、 

 チャンチン♪ チャンチン♬

取り付かれてしまいました・・・

 

聞いたこともない名前の木が

たくさんはえていて立派な林をつくっている・・・

気になって気になってしかたがありません。

 

まずネットで調べると、

江戸時代には日本に渡来していて、

家具材などに利用されていたとのこと。

また、中国では赤味のある新芽が山菜として人気だそうです!!

背が高い木なので、倒れたものから採ってきました。

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確かにゴマのような、ちょっと独特な香りの強い味。

日本人の好みとは方向性がちがうようです^^;

 

目立つ新緑の時期に探してみると、

善光寺平の西がわの山間地の集落には、

農家の家の近くに、数本単位ですが、

わりと普通に植えてあることも分かりました。

地元のおばあさんに「チャンチン」と言ったら通じたので

これもびっくり。

まっすぐで縦に割れるので、薪にしたそうです。

いつから植えられていたかもわからないくらい、

なじんでいるようでした。

 

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ウルシやクルミのような複葉です。

最近増えている、同じく中国原産の外来種

ニワウルシにも似ています。

夏には白くて小さな花も咲いていました。

これを高枝切りばさみで採ろうとして、もう少しで届かず、

あと10㎝身長があれば!と悔しい思いもしました。

 

先日、たまたま訪ねた県北の飯山市の集落内にも、

普通に植えられているのを見ました。

地元の人にきくと、

チャンチンとは言わず、リョウガンと呼んでいて、

昔は、稲刈り後のはざかけ棒をかける縦木として、

畦に植えておいたとか。

 

はえている場所では暮らしに密着していますが、

広くあるわけではなく、とても局所的。

集落内で勝手に増えているようすもありません。

それがわかってくると、最初に気づいた林のほうが、

天然でなく、材木にするなど目的があって、

かつて植えられた林のなごりのように見えてきました。

 

普段車でよく通るような場所にも、謎が落ちていてびっくり。

来年もこのブームは続きそうです。

チャンチンについて、情報をおもちのかた、

ぜひご一報ください!