戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

謎の骨を調べる

ご近所さんが畑で拾った骨

「何の骨でしょうか?」というご質問

 

昨日持ち込まれたもの…

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骨盤(寛骨)ですね、

左右の骨のつなぎ目が、癒合しており、かなりの年をとった個体のもののようです。

末端の部分は獣たちによってかじられています。

 

シカかな?イノシシかな?、

クマだったりして…それはないだろう!

カモシカかもしれません。

 

可能性としては、シカかなあ?

 

そこで、館にある標本類と比べてみることに…

ツキノワグマとは、形態がかなり違うので✕

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カモシカ(左)との比較をしてみました

 

カモシカはスリムで、きゃしゃな感じですが、

謎の骨はがっしり感があります。これも✕

 

本命のニホンジカのオス・メスとの比較…

 

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左が若いオス、中央が鑑定の骨、右が メス(お年寄り)

 

   ※画像はありませんが、イノシシとは形態が違いました。

 

結局のところ、メスのシカ(お年寄り)との結論になりました!

 

最後に、オスのオオツノジカとも比べてみました。

 

 

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件の腰骨がすっかり、はまってしまうくらい大きさが違います。 

 

 オオツノジカの巨大さがとてもよくわかりました。

 

モノは比べてみないと、よくわかりません!今日の教訓です。

 

ですよね、館長!(昨日の休み、フジ棚の下でくつろぐ姿)

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「そうじゃぞ、本質は比べてみねばわからん!肝に銘じておきなさいっ!」