戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

災害について考える…

このところ災害が多発しています。

 

地震をはじめ、火山の噴火、

梅雨前線や台風による大雨が引き起こすものが頻発…

 

今日も東北・北陸地方は記録的な大雨になっている…とのニュースが流れています。

どうか、みなさん無事であってほしい、と祈ります。

 

博物館の周辺でも、大きな土砂崩れが発生しています。

 

 

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大量の雨で、土砂が崩れ落ちています。

住宅もあり、危険な状態です…

 

崩れた場所は白っぽい岩(裾花凝灰岩)が見えます。

 

この崩落の原因は、大量の雨なのですが、しかし…

 

ちょっと離れたところから見てみると、こうした感じです。

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3段の平らなところが見て取れます。

 

これは、裾花川がつくった地形です。

段丘と呼びます。

 

かつての裾花川の河原だったところです。

 

裾花川が、徐々に大地を削ってきた歴史が読み取れる場所。

1段目が古く、そして、2段目、3段目と新しくなっていきます。

(逆を言えば、山が隆起してきた、とも言えます)

 

河原だった場所ですから、

今の河原にもあるような、軟らかな土砂がのっています。

 

 大雨時はその土砂の中に水がたまり、かつての下流側に集まり、

吹きだすことがあります。

 

段丘堆積物は、大雨時には崩れやすい!

気を付けないといけない場所です。

 

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数十年に一度、という記録的な雨が続くこの御時勢…

 

地形や地質を読むことを、少しでもわかっていただけたら、と思います。

 

先日、来館された若いご夫妻が、長野県地質図をじっくりとご覧になっていました。

あまりに熱心にみているので、お声がけをさせていただきましたが、

自宅を立てたいのだけれど、地質が知りたい、とのことでした。

 

最新の「5万分の1 長野県地質図」を見ながら、話をしましたが、

納得していただけたようで、もっと勉強したい!と言っていました。

 

なぜ、川がそこを流れ、山がそこにあるのか、

なぜ、ある場所に水が集まってしまうのか? 

そんな疑問をスタートに、地球との付き合い方を考えましょう。

 

「地質学を学ぶことは、生きること!」 

 

そんな知恵を伝えていく必要がある、と痛感しています。