戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

産特太樺 トイナモムア

今日は一日中、雪が降り続きました。

うってかわって、真っ白な世界に逆戻りです。

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まだまだ春は先のことか…

 

閑話休題

先日、大学の先輩Hさんよりいただきました。

箪笥の引き出しからでてきた、古いお土産とのこと。

 

直径3㎝ほどのアンモナイトの化石でできた帯留めです…

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それに、解説書がついていました。

 

産特太樺 トイナモムア なんじゃこりゃ?

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右から読むようです。樺太特産 アムモナイト

 

確かに、樺太には白亜紀の地層があり、アンモナイトの化石が産出します。

日本産の恐竜として知られるニッポノサウルス(カモノハシ竜の仲間)が

1934年に産出しています。

 

へえ~ アンモナイトを磨いて加工し、お土産物にしたんだ…

 

樺太には大泊港があり、北海道稚内との連絡船が行き来していたそうです。

この連絡船は、1923(大正12)年に始まったとのこと…

観光客を相手にお土産物をつくる、ということからみて、

このアンモナイトはこれ以降のことなのでしょう。

すると、100年近く前のものなのかなぁ?

 

その解説書をめくって、またビックリ!

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アンモナイトは約700万年前のもの、とあります。

それじゃあ、裾花川の下流、長野県庁裏の凝灰岩の年代値ですね。

 

当時、岩石中の鉱物を用いた年代測定などが行われていなかったため、

こんな数値が記されていたのでしょう。

今やアンモナイトは、その10倍近い古さをもつ化石となっています。

 

ニッポノサウルスは約8300万~8000万年前と考えられています。

 

さらに後ろのページには地質年代と生命の進化を表す表が…

【前世界二於ケル生物ノ発生】

その表の年代値をみると…

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現在から50万年前までの時代を第四紀、

50万年から100万年前は第三紀

中生代は、100万年から1000万年前を示す時代で、

古生代は、1000万年から、1億4千万年前と記されています

 

当時の科学水準がわかって、おもしろい!

 

樺太といえば、

間宮林蔵最上徳内松浦武四郎などの探検家、

日露戦争ポーツマス条約、小村寿太郎大臣などの歴史の事件、

前述したニッポノサウルスやデスモスチルスの化石などしか

今まで、頭に浮かびませんでしたが、

お菓子屋さんがこんなお土産を売り出すなど、

もっと、いろいろな歴史があるようです。