戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

出会いから

今日もよいお天気となりました^^

あたたかい日差しの中、

地層見学にきた子どもたちと楽しく歩くことができました。

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海だった戸隠、長野地域

地層が語る、何100万年もの大地のものがたり

水が削り、運ぶ、大地の循環・・・

 

子どもたちが驚きながら、熱心に聞いてくれるので、

ついつい話す方も頑張ってしまいます^^;

学校の先生は、

 川の石の上を歩くだけでも、子どもたちには新鮮です

とおっしゃっていました。

実物に触れながらの体験が、

何かしら子どもたちの心に残るといいな、と思います。

 

さてさて、キノコ採集など

自然の中にでかけることばかりしている職員は、

ときに、山の中で思いがけない出会いをします。

その中で、今年出会った印象的な、名もなき巨木たちをご紹介します。

 

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幹回り3mはゆうに超えていました。

大きなうろに苔むした樹皮。

枝は大きく4本にわかれていました。

昔、幹が切られたあと、萌芽した枝が伸びて

それぞれ大きく育ち、このような樹形になったのでしょうか。

 

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それぞれの枝をおいかけていくと、

じつは一番右側の枝はカエデの仲間でコハウチワカエデ。

それ以外はハルニレでした。

幹は1本にしか見えないので、完全に合体しているようです。

紅葉がきれいなときに、改めて見てみたい木です。

 

こちらも大きな木でした。

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幹回りが5~6mはありそうなトチノキ

なのですが・・・

 

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裏にまわると、ほとんど幹が朽ちています。

しかし完全に枯れているわけではなく、

写真右側の薄皮1枚でつながった樹皮から、枝が伸びています。

 

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この枝からちゃんと葉が出ていたことを、

これよりひと月ほど前に確認しています。

どれくらいの年月を経ているのか、

その時間を考えただけで、拝みたくなるような木でした(-_-)

 

森の中で、ほとんどその存在を知られることなく

こうした木々がひっそりと生きているのかと思うと、

静かであたたかい気持ちになります。

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元気な子どもたちとはまったく対照的ですが、

それぞれどちらも同じひとつの命。

胸にしみる出会いです。