戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

移りゆく季節とともに

連休の期間中、多くのかたが当館を訪れてくださいました。戸隠観光のかた、巡回展目当てのかた、お彼岸でふるさとに帰られたついでに寄られたかたなど、目的は様々ですが、こんな交通の不便な場所へ、わざわざ足を運んでくださり、本当にありがたいです。
特にこの頃の秋の気配から、早くも冬の心配が湧き上がってきてしまい、こんな賑やかなのもあと数か月かと思うと、今からため息が漏れてしまいます。

さて、ちょっとしんみりしていると、大きなガがクモの巣にかかっていることを教えてもらいました。

ヤママユガという羽を広げると8cmほどにもなる大きなガです。すでに羽はばらばらになり、その太い胴体を、これまた大きなクモ(おそらくジョロウグモ)が食べているところでした。迫力満点です。
このガはクモにとって大事なごちそうだったのでしょう。冬になる前に栄養をとって、卵を産まなくてはなりませんから。
ガのほうは、もう卵を産んだのでしょうか… うまく次の世代を残して、その身が食料になったのならまだ救われますが、そううまくはいかないことも、自然界では多々おきているのでしょう。

移りゆく季節とともに、命のはかなさやそのつながりを思って、ますますしんみりしてしまいました。

下は以前に採った、ヤママユガのまゆです。4cmくらいの大きさがあります。このまゆからカイコのまゆのように糸を取り出すことができるそうです。