戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

芸術作品

この写真、何だと思いますか?

何色もの和紙が張りあわされたようですよね。
ゴッホが描く空みたいにも見えませんか?


これは、実はスズメバチの巣のアップなんです。
昨日、近所のおじさんが持ってきてくださったもので、
木の枝にぶら下がっていたそうです。

(↑中身はこちら。下向きの巣盤が3層ありました。)
このしま模様の一つ一つが違う材料からできていて、
主に木の皮をかみ砕いたものと唾液を混ぜたものだそうです。
この巣の場合、きれいな緑色も混ざっていて、アクセントになっています。
薄くて丈夫で繊細で、あの恐ろしいスズメバチが作ったなんて、信じがたいようです。


でも、巣の中の空いていない繭を1つ破いてみたら、
まぎれもなくハチが出てきました。コガタスズメバチという種類です。
この無表情な顔でこんな芸術作品をつくってしまうのですから、
自然には色々な側面があるんだな、とつくづく思います。