戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

こちらも梅雨の花盛り

なかなか梅雨があけないですね(+_+)

 

先日、菌から栄養をもらっているオニノヤガラ

飯綱高原で大量発生していることをお伝えしましたが、

じつは、そのすぐ近くでこんな植物もぞくぞくと顔をだしていました。

 

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まだ咲いていませんが、ベニバナイチヤクソウに見えます。

ただし、根元をみても、葉っぱがありません。

イチヤクソウの仲間も、光合成をしつつ、

菌から部分的に栄養をもらっていることが知られています。

菌への依存度が高いと、こんな姿になるのかもしれない、

と想像して、花が咲くのを待ちました。

 

そして3日後。

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やはりイチヤクソウの仲間のようですが、

花弁が普通5枚のところ、10枚以上にわかれているものもありました。

不思議です。

 

いろいろ調べてみたところ

花は赤いですが、ベニバナイチヤクソウではなく、

普通のイチヤクソウの変種であることがわかりました。

その名は「ヒトツバイチヤクソウ」

やはり菌への依存度が高くなったもので、

葉がないものから、小さな葉が1~2枚でるものまで様々だそうです。

葉の形態はイチヤクソウのもので、花期もベニバナイチヤクソウより

一月ほど遅く、イチヤクソウの時期に一致します。

 

みつけたときは仲間たちと、新種じゃないの!?

なんて話をしていたので、ちょっとがっかり・・・^^;

ま、そうそう新種は落ちていないですよね。

 

場所として新発見だったのは、

近くのバードライン沿いの戸隠古道の一部で花畑が見られたこと。

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イブキジャコウソウの花盛りでした。

一帯が「飯綱原(いいづなっぱら)」と呼ばれた

開けた草地だったときの忘れ形見です。

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日本にはえる野生のタイムの仲間なので、

葉っぱをもむといい香りがします。

明治時代の紀行文にも、戸隠に向かう途中、

この花畑をふみわけて通るので、一帯が香っていた、

と記されています。

尊敬する明治の植物学者さんの追体験ができて、

すっかり舞い上がってしまいました。