戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

希少なのかな?

3種類見られたら、ご紹介しようと思っていたのですが、

昨日、3種類目が見つかったので・・・^^;

 

虫こぶ(虫えい)です。

植物にハチやハエの仲間の卵が産みつけられて、

その中で幼虫が育つのですが、

産み付けられたほうの植物の組織がその幼虫を守るように

変形してしまうものです。

 

1種類目はイタドリの花と一緒にあったものです。

f:id:Naturalhistory:20200819110824j:plain

ピンク色の丸い粒。まるで実のようですが、

つぼみのうちに寄生されてしまうものらしく、

イタドリツボミフクレフシ(イタドリ 蕾 膨れ ふし=虫こぶ)

という名前でした。

けっこう珍しい種類のようで、

情報を探してもわずかしか見つからないです・・・

 

こちらもじつはレアものらしいです。

f:id:Naturalhistory:20200831160136j:plain

シシウドミフクレタマフシ(シシウド 実 膨れ 玉 ふし)

大型のセリ科植物、シシウドの実につく仲間のようです。

ただここで問題が・・・

このごろ、大型セリ科植物の分類の見直しが行われていまして、

長野県北部のシシウドと呼ばれていた大型セリ科のほとんどが

ミチノクヨロイグサという亜種だということがわかってきました。

虫こぶをつくる寄生種と、寄主植物は厳密な関係があるので、

別の種類の寄生バエかもしれません・・・

 

もう一つはこちら

f:id:Naturalhistory:20200810152647j:plain

クガイソウツボミフクレフシ(クガイソウ 蕾 膨れ ふし)

カビがはえたような姿に驚きました。

 

クガイソウの花はもともとはこんな姿です ↓↓

f:id:Naturalhistory:20200810154032j:plain

寄生生物によって、こんなに姿を変えられてしまうとは、

恐ろしいです・・・><;

 

ただ、クガイソウ自体があまり多くなく、

クガイソウを食草にしているチョウ、コヒョウモンモドキは

全国で絶滅危惧IB類の希少種です。

もしかしたら、

この虫こぶをつくるハエ自体も希少種・・・?

 

改めて調べてみたら、レアな種類ばかりだったようで、

ちょっと驚いています。

天気が例年と異なるので、今まで目立たなかったものが

活発に活動するようになったのでしょうか?

こうした自然のちょっとした変化にも

意識をむけておこうと改めて思いました。