戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

一番低い場所で考えたこと…

千曲川の狭窄部で、水害防止のために土砂を掘る、

というニュースが報道で流れました。

 

長野市中野市の境となる千曲川立ヶ花橋の近くです。

 

昔に行ったことがあるのですが、

昨日の休みを利用していってきました。

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千曲川の水が、丘陵を削って谷をつくり、流れています。

新幹線の橋も見えます。

 

考えてみれば、

ここは、長野市でも最も標高の低い場所(約300m)になります。

この地形は、活断層でできた地形…

手前側が低くなり、丘陵部は上昇したのです。

長野盆地西縁部の断層と千曲川が交差する場所です。

 

大雨が上流で降ると、ここに水が一気に押し寄せ、

堤防を越えてしまいます。

 

明治時代の古い「水制」も残っています。

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それを示す看板もありました。

 

やはり、水との戦いの場所でもありました。

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この階段の下の川の中に残っているらしい…

 

そんな場所なのですが、そこから高妻山・乙妻山の真っ白な姿を確認…

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高妻山の高さは2353m、昔はみんな海でした。

 

いろいろな大地の物語があって、

この地形は作られ、人との物語も続くのです。

 

長野市の一番低い場所から、一番高い山を眺め、

地質の面白さを再確認できました。

 

大地は、水との物語とセットにして、

しかも、広く深く考えなければいけないようです。

 

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