戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

氾濫原の観察会

今日は雨があがり、オオヨシキリカッコウが元気になく

千曲川沿いのグランドで観察会を開きました。

一昨年の台風で冠水した氾濫原の

植生回復のモニタリング調査を兼ねていて、

去年の秋に引き続き、2回目になります。

 

秋はオオブタクサなどの巨大な植物が覆っていたのですが、

春はまだ見通しがよく、小さな植物もよく目に付きます。

植物好きの参加者の皆さんは

自然と腰をかがめ、しゃがみこんでの観察に^^

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おかげさまで、色々な植物に気づくことができました。

 

現状、川沿いはナヨクサフジやヒゲナガスズメノチャヒキなどの

外来植物の天下ですが、

よく見れば、頑張っている日本の河原固有種も!

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細い葉のカワラヨモギ

普通のヨモギと並んではえて、区別が容易です。

これに限らず今回は似たものが隣に生えていることが多くて、

説明にとても助かりました^^

 

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秋に人の背丈を超えるほどに大きくなっていたオオイヌタデは、

現在はまだ、こんな小さな芽生えです。

これを見つけてくださるのですから、

幼少期に養われたという観察眼の賜物ですね^^

 

そんな中、私が今回、一番感心したのはこの小さな植物

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ムシクサ です。

丈が5~10㎝ほどで、オオイヌノフグリと同属です。

水辺や田んぼにはえる、どちらかというと雑草扱いの植物ですが、

私にとっては、じつは初めての出会いとなりました!

もともと広くあったはずの川沿いの湿地や湿田は、

堤防を作ったり乾田化したりで、今はあまり残っていません。

こんなところで、人知れず生えていたのかと感動しました><

 

虫草」の名前は、実につくられる虫こぶに由来します。

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この、ぷっくり膨らんだ実は、全て虫こぶ。

愛用の図鑑にこの虫こぶを開いた写真が掲載されていたので、

ずっと憧れだった、ムシクサの虫こぶの御開帳を実践しました^^!

 

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本当にいました(^O^)/

ゾウムシの仲間、ムシクサコバンゾウムシの幼虫です。

急に陽にさらされて、くねくね動いていました。

私の長年の夢をかなえてくれて、ありがとう!

そして、ごめんなさい^^;

 

今回も楽しい出会いがたくさんありました。

普段山の中にすんでいて、もちろんいい自然に恵まれているのですが、

さすが長野市は広い!

低地をあなどってはいけないと実感させていただきました。