戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

小さな虫にも

五分の魂・・・

生きとし生けるもの、全てにそれぞれの価値があり

ことさら主張するでもなく、日々を生きている・・・

 

がしかし、

嫌いなものはどうしても目に入ってしまうようで、

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雨の合間をぬって植木の剪定をしていた学芸員

天敵のアリの集団を発見しました。

しかも丸いこぶ状の塊にむらがっています。

正体を究明するよう、指令が下りました。

 

おそらくコナラの枝につくる虫こぶかと当たりをつけて

検索してみるとすぐにヒット

便利な世の中ですね^^

 

「ナラエダムレタマフシ 楢枝群玉附子」でした。

虫こぶの名前のつけかたは、

「植物名+部位+形状+ふし(虫こぶのこと)」

の順番と決まっているので、わかりやすいです。

この虫こぶをつくったのは、ナラエダムレタマバチ とのことで、

ハチの仲間でした。

 

しかし学芸員にとって問題は、なぜアリが群がっているかということ。

その答えは、虫こぶが蜜を分泌しているから!でした。

もともと、コナラの枝には蜜を出す器官はないのに、

虫こぶになると、分泌器官がつくられ、甘い蜜を出すようになるそうです。

アリに蜜を提供することで中のハチの幼虫が守られる、

ハチとアリは共生をしていることになります。

 

しかし、虫こぶを作られ、糖分まで提供することになってしまった

コナラの立場はどうなるのでしょう?

いいことがあるのでしょうか? 不思議です。

人などが気にしなくても、

それぞれ自分たちの生をまっとうしている生き物たち。

そんな姿をみて、勝手に気にし始めた人を悩ませます^^;

 

さてさて、

多目的室前のツバメのヒナたちが3羽とも無事に巣だち

安心していたのですが、

先ほど、3羽とも出戻っていることが判明!

 

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雨ですし、わざわざ濡れることはないですものね^^;
そう思いはするものの、巣立つ姿を見送ったものとしては、

ちょっと肩透かし。

(これも人の勝手な感傷です)

生まれた家の周りでしっかり体力をたくわえて、

今後の長旅に備えてもらえればと思います。