戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

能登で発生した地震から思う…

今朝は、ちょっと曇り空からスタート!

昨日、柴犬館長が下校したあとのことです。

午後2時42分、能登半島震源とする大きな地震が発生…

 

長野でも緊急地震速報が響き、長い横揺れを感じました…、

マグニチュード6.5で、珠洲市では最大深度6強

 

午後10時近くでも地震が…戸隠は震度3

 

家屋やブロック塀、神社の鳥居の倒壊、

崖から崩れた岩塊が家屋を直撃… そんな映像が流れています

珠洲焼の資料館でも土器が被災、他にも断水等もでているとのニュース…

 

長野市でも深度3 

北陸新幹線も一時止まり、交通障害も発生しました。

 

被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。

 

 

このところ、能登半島では地震が活発化していました。

 

地震で被害の発生した、珠洲市の正院町に昔いきました…

 

そこは、第四紀後半、

つい最近(約12万年前)の貝化石がたくさん見つかる場所が…

海にすむ貝類の化石が標高40~30mぐらいのところから産出し、

「平床貝層」と呼ばれています。

 

当時の日本海が、その標高にまで持ち上がったことを示します。

海水準の変動もありますが、能登半島の隆起を示す証拠でもあります。

 

そして、珠洲といえば、焼き物も有名です。

 

中世(鎌倉~室町時代)につくられた厚手の黒い土器、

珠洲焼」と呼ばれます。

 

戸隠奥社近くの院坊跡からも出土しています。

一緒に、戸隠を調査をしている友人に提供いただいた画像です…

 【ご提供ありがとうございました】

 

中世、日本海での海上輸送が盛んになり、

高級品を運ぶための容器として使われたものでしょう…

 

戸隠の珠洲焼の破片は、おそらくは直江津の港から運ばれたものの欠片…

それだけの交流があったことを示します… 

戸隠が栄えた時代で、お金があったのだろうな?と推測する証拠…

 

黒い色が特徴の珠洲焼の素材は、珠洲周辺の鉄分の多い粘土…

そのもとは、日本海に堆積した新第三紀中新世の地層です…

 

それが風化してできた、特別な粘土…

 

それを練り、たたき、櫛などで模様をつけたもの…

穴窯にいれ、途中でふさぎ、酸素の供給をとめ

還元状態で焼いたものと考えられています。

 

もとをたどると、能登半島の隆起とその後の風化でできたもの、

海の名残でもあります…

 

戸隠の生い立ちと、よく似た生い立ちが隠されています。

 

現在、地震が発生しているのは、そうした過去を引き継いでいるから…

とも考えられます。

 

🐶「大地の生い立ちが大事なのじゃ…」

 



🐶「防災は、自分のすむ土地の履歴書を読むことから始まるのじゃ…」

 

柴犬館長の教えです… 

 

 

今日もおあとがよろしいようで…