戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

オオイヌノフグリのタネ

オオイヌノフグリと聞けば青くて小さなかわいらしい花を想像しますよね。でも名前がなんとも妙だな、と思いませんか? 実は「犬のフグリ」という似た仲間があって、それより大きな花なので「大」がついたのです。その名のもとになっているのは実の形。写真のように丸い2つのたまたまがついています。写真を逆さにするともっと似ているかな。

この実を開けてみると、中にタネが16こも入っていました。だ円形で2mmにも満たない小ささですが、よく見ると細かな彫刻がほどこされています。片側にへこみがあり、もう片側にはぎざぎざがあります。まるで貝形のパスタのようです。この彫りがあることで、土にからまりやすくなり、土ごとヒトや動物について運ばれていくそうです。この精巧な仕掛けのおかげか、明治時代になってから日本にやって来たのに、今や人の住むところにはどこででも見られるようになりました。