戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

タネのへそ

昨日の強風とヒョウは大きな被害をもたらしました。サルスベリの花はほとんど落ちてしまい、花壇の植物やサクラやカキの葉も傷だらけです。玄関につるしてあるクジラも負傷してしまいました。
そんな被害にも負けず、フウセンカズラの実が実り始めています。発芽が遅かったので心配したのですが、つるが伸びて花をつけ始めたかと思いきや、実が名前の通りどんどん風船のようにふくらんでいきました。

その実を開いてみたところ、うすい膜をしきりに3つの小部屋にわかれていて、それぞれにタネが1つずつ入っていました。しかもタネの白い模様のところをそれぞれ向かい合わせています。

タネをそっと触ってみると、膜とつながっていた部分にハート形のお面を残したように、タネがはずれました。タネの白い部分の真ん中にある小さなポッチも、お面にその跡がついています。タネと実はこの部分でつながっていて、栄養をもらい大きくなったのでしょう。まるでお母さんのおなかの中で育つ赤ちゃんのようです。タネの白い模様や小さなポッチはお母さんとつながっていたあかし、つまり‘へそ’ということになります!

タネが急に身近なものになったようで、感心してしまいました。じっくり観察すると、面白いことがたくさんありますね。