戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

生産に感謝し労働をねぎらう日

今日は勤労感謝の日

お天気もよく、ご家族連れなどでにぎわいました。

 

中には、先日学校できたときに楽しかったので、

家族と再訪、というお子さん連れも^^

 

この賑わいも、冬を前にそろそろ終わりでしょうか。

12月、師走が迫っています。

明日から冷え込むそうです。

みなさんも体調管理にお気を付けください。

 

さて、もう一月も前のことですが、

知り合いから、何でしょうか? と質問をいただきました。

現物付きです。

 

 

 春に野外に放置しておいた革の手袋を

 秋にまた使おうとしたら、

 指に何か硬いものが詰め込まれている。

 気になって、割いてみたら黒いものが出てきた!

 

とのことです。

確かにかっちかちに硬いです><

 

そして薄い茶色のものがちらりとのぞいています。

他の職員とも検討したのですが、

昆虫の繭ではないか、と推測しました。

 

そして繭を囲む硬い素材、

質感から松やになどの樹脂のようです。

 

薪の上に置いておいた手袋だそうですので、

その薪に針葉樹があったのかを聞いてみたのですが、

答えは ノー

つまり、近くの材を食べて出したうんちではない。。。

 

こんな硬い繭をやぶって出てくる成虫は

相当顎が強いはず・・・

カミキリムシの仲間??

 

などと想像したところで、第一ラウンド終了^^;

そのまま寝かせること、一か月。

 

ふと先日、思い出して再び調べたところ、

樹脂を巣材に使う、ハチがいることがわかりました。

 

オオハキリバチという大型のハナバチです。

オオハキリバチ (shotoku.ac.jp)

 

親蜂は竹筒などの筒の中に針葉樹の樹脂を運んできて

小部屋をつくり、幼虫の餌となる花粉を詰め込みます。

そこに産卵して入り口に封をして巣は完成。

 

幼虫は巣の中で成長し、さなぎで冬を越すそうです。

 

先ほどの繭はすでに壊れているようだったので、

試しに開けてみましたが、原形をとどめていませんでした。

 

さらに隣接する親指の付け根部分にもう一塊りがあったので、

それを取り出して観察。

 

やはり繭らしい・・・

ちなみに白い毛は、皮手袋の繊維です。

 

この向きにしてみると、

透けている中身が、右を向いた昆虫(ハチ?)の顔のように見えませんか?

(左上の白い塊は脱皮殻?のようなので無視)

 

ハチ模型で同じ角度で再現するとこんな感じ

 

このままうまく冬を越してくれて、

来年成虫が出てきてくれれば謎は解けるのですが

果たしてどうなるか。。。

持主の方には、その可能性だけお伝えしました。

 

それにしても、このかっちかちの樹脂の繭ですが、

今回は皮手袋という比較的柔らかい素材の筒だったからまだしも、

竹筒に作って樹脂で封入したら、中で羽化した成虫はどうやって

出てくるのでしょうか?

集めてきた樹脂をこねて巣をつくるなら、

何か口から樹脂を柔らかくする酵素でもだすのでしょうか?

その辺はまだ調べきれていませんので、

これからの課題です。

 

まだ、オオハキリバチと決まったわけでもありませんし・・・^^;

 

おまけ、

たわわに実ったアオツヅラフジ

きれいな実とつるは、リースづくりにもってこいです^^

またお天気がよくなったら、集めよう・・・