戸隠地質化石博物館の日記

博物館周辺での日々のできごとを、地質、植物、動物などの各担当者が書いていく日記です。

七夕に

七夕なのに、朝からどんよりとした曇り空。
そこへ、悲しげな声が響きました。
ぴ〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・ ぴ〜〜〜〜〜〜〜〜・・・


かなりの音量です。
一年に一度の逢瀬をなげく織姫の声? 


その主をさがして望遠鏡をのぞくと、
遠くのスギの木のてっぺんに、こんな鳥の姿が。

わかりにくいと思いますが、ハチクマというタカの仲間です。
東南アジアから春にわたってくる夏鳥で、里山で営巣します。


このところ、大きなカラスのような鳥がいる!という目撃情報があったのは、
この鳥だったのかもしれません。
ずっといるとすれば、近くで営巣している可能性が高いです。
ちょうど卵が孵化する時期らしいので、
じつはヒナが孵った歓喜の声だったりして・・・^^;


ハチクマって変な名前ですよね。
じつは、ハチの巣を襲って中の幼虫やさなぎを食べるタカなんです。
タカにしては首が長めなのは、土中のクロスズメバチの巣などにも顔をつっこんで
食べやすいようになっているからとか。


もちろんハチだって黙って食べられるわけではありませんが、
タカの顔の周りの羽毛が硬くて攻撃されても平気なのだとか、
刺されても毒がきかないのだとか、
ハチが攻撃する気をなくす臭いのようなものを出しているのだとか、
諸説ありますが、はっきりしたことはわかっていないそうです。

こちらは、先日カナヘビ?の卵と一緒に持ち込まれたスズメバチの初期の巣。
中から、幼虫もたくさん出てきました。
この栄養たっぷりの幼虫をこれからヒナが食べて成長するわけです。
確かに高カロリーの完全栄養食品。
あの恐ろしいスズメバチをわざわざ狙って食べる生き物がいるなんて、
生き物の世界は本当に奥深いですね。